昨日のダンス、

一条のダンス、

かっこいいダンスでした。

めっちゃ良かった。

いちばんのダンスでした。

このような作品を自分たちで作り上げ、踊り切った3年生2年生の生徒たちは

えらい奴らやな、と素朴に率直に思います。

良い作品をみんなで作り上げ、披露する。

多くの人たちに観てもらって楽しんでもらう、

そう考え、そしてそのことを成し遂げた感は大いにある。

横浜へ行き、全国でいちばんをとることだけを考えてここまで突き進んできただけに

全国の一条ダンス部ファンに観てもらうことを楽しみにしていただけに

無念の想いはあっても悔いはないな。

審査結果の発表があって、すぐに俺たち3人は会場の横の扉から退館し、

大倉山、神戸市営地下鉄の駅の階段を降りる。

電車が来て、乗り込んで、それからリーダーと副リーダーのふたりの顔を見る。

俺を含めて、なんか奇妙に感情の起伏は特にない。

なぜこんな状況になっているのかはわからないけれど、これが現実でみんなが待つ場所に行って報告せなばならない。

他の部員50名は神戸東遊園地でまっている。

みんな結果は知ってるんかな、と車内で問う。

いえ、私たちが報告するまで知らないです、と。

そしたらどうする、誰が、つまり3人のうち誰が報告するんや?

この場合、先生がしてくれますか、と。

そやな、まあそやな、こういうことやから俺がするか。

地下鉄を降りて、三ノ宮の地下通路を歩く、長い長い地下通路を3人で歩く、

この地下通路を3人で歩いている、この感覚は忘れることがないんじゃないかと思いながらひたすら歩き続ける。

高校3年の気分になる。高校生活最後の大会を終えた感じに俺もなる。ここまで感情をともにすることはないのかも知れないけれど、

それでも一度きりの最後の戦いをともに戦っている、毎年毎年そんな心持に、いっかいいっかいなる。

地下通路は長すぎるので、さすがに息苦しくなり、地上に出る。

部員たちが待つ東遊園地へ着く。

どう告げるか。

入賞校から順番に言う。そして3位の高校、2位の高校、最後に優勝校。

一条は呼ばれませんでした、と。

そこから何か言うべきなのか。黙っているわけにもいかず話し続ける。

言葉が見つからないと言いながら話し続ける。

どう考えても適切な言葉などない。なぐさめの言葉も、健闘を讃える言葉も、どれも違うような気がするし、

この世界中どこを探しても見つからない言葉を、

この陸地のどこを掘り返してみても絶対に見つからない言葉を探しつつ、この時間を今しばらく共有するために話し続ける。

この輪の中で少しでも気持ちをみなで鎮めるために。

輪を解いて、1時間ほどみんなでしばし泣いたりして、そして歩き出すしかありません。

この東遊園地が新たな出発点です。

希望を持って踊ろう。

希望のダンスを、

それが一条ダンス部です。

そしてこの夏、間違いなくいちばんカッコいいダンスでした。